自宅から車で公園に移動する。
駐車場に停めて公園を通り抜けると、いつものランニングルートに辿り着く。
海岸通りのそこは、高い建物もなく景色が開けている。
首にぶらさげているイヤホンを装着する。
好きな曲を流し曲のリズムに合わせて走り出す。
穏やかな波から優しい風が吹き抜ける。
通り沿いに咲いているシロツメクサが揺れている。
折り返しの漁港が見えてくる。
曲間に聞こえる荒い呼吸音。
新たな曲が始まり、また一歩踏み出す。
息が苦しい。早く足を止めたい。
最後のサビが流れてくる。
あと少しだけ。あと少しだけ。
音が止まる。
空を見上げると夕日に照らされた茜雲。
優しく揺らぐ風。
そっと包まれている。
海岸通りに春が舞う。